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加藤のコラム

加藤のコラム第188号

マウントを取らせるというマウント

 

「マウントを取る」とは、相手よりもポジションが上であると優位性を認識させるために言動で威圧的な態度をとったりすることです。「マウンティング」とも言われるようですが、マウントを取りたがるタイプの方は確かにおられます。人間というのは、他者より優位に立つことで安心するところがありますし、そのことで自分を満たそうとする心理は多かれ少なかれどの人間にも存在するでしょう。相手の話をさえぎって「オレもさあ…」と言っちゃったり、相手をやり込めて自分の正当性を主張しちゃったりすることなんて、まあ行動としてはわからなくもない。ボクなんか実につまらない人間ですから、マウントを取りたくて取りたくてたまりません。

 

格闘技でも、マウントを取って攻撃する方が基本的には有利だと思うのですが、マウントを取られた体勢で逆に関節技で攻めることのできる達人がいます。マウントを取らせているようでいて実はちゃんとコントロールしているという凄技。こういう人間関係スキルを身に付けたいものです。

 

やっぱり「さしすせそ」なんだわ。

 

さ 「さすがですね」「さいこうです」

し 「しらなかったです」「しんじられない」「しゃれてますねえ」

す 「すごいですね」「すてきです」「すばらしい」

せ 「センスありますねえ」「せいじつさがにじみ出ています」

そ 「そうなんだ」「そこなんですよね」

 

この「さしすせそ」が、マウントを取られているようでいて実はマウントを取っている(手のひらで相手をころがせている)人間関係の凄技。マウントに関係なく、この「さしすせそ」を駆使すれば、人間関係は円滑に回ります。「さしすせそ」は料理だけではない隠し味になるということです。

 

ボク、「さしすせそ」が口癖になるように頑張ります。マウントを取りたくて取りたくて仕方ないみみっちい人間であることを変えることは難しいとしても、いかにもマウントを取ってきているなと不快感を与える人間にはなりたくないのでね。

 

でもさあ、この「さしすせそ」を相手から言われたら、自分がマウント取ろうとしてイヤな行動をしていたという可能性も多々あるわけで、「さしすせそ」を言われないことも大事なかもしれないのよね。でも、言われたい気持ちも捨てられないな。

 

決めました。もし、「さしすせそ」を言われたら、「ボク、図に乗ってしまうので、あと一回だけ言って終わりにしてください」と返すようにします。とことん、みみっちい人間ですが、みみっちいなりにしぶとく生きていきます。

 

自閉症者地域生活支援センターなないろ  加藤 潔