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加藤のコラム

加藤のコラム第187号

働き方改革ってそもそも何だったっけ?

 

「働き方改革」という言葉が世の中に出始めてそれなりの年月が経ちました。

2016年9月に「働き方改革実現会議」が設置されたのがそもそものスタートのようです。この言葉の雑駁なイメージとして、残業しないで定時で帰る、どんどん休んで人生を楽しむのが正しい働き方なんだよという一面のみが広がっているような気がしていますが、そんな偏屈な見方をしているのはボクだけ?

 

日曜劇場「キャスター」で、こんなセリフがありました。「働き方改革って通常定時で仕事を切り上げることじゃなくて、働く人が働きたいように多様な働き方を認めること」。このセリフには激しく同意してしまいました。おっといかん、これ以上書き進めると炎上しそうな気がしますが、発言の一部を切り取ることなく、ちゃんとお読みくださいね。

 

定時で帰るとか休みを取るとか、それを否定する気はまったくございません。そのほうがいいに決まっています。でも、ある業種の方々がそうできたとしても、それがなかなかできない業種の方々もおられるのも事実。24時間365日の対応を続けないと、だれかの生命や安全を守ることができない仕事は現実に多数存在します。そして、そうした仕事は人気薄になりがちのため、いわゆる一般的な働き方改革のイメージからはどんどん遠のいてしまう職場となり「底辺職」と呼ばれちゃうこともあります(2022年7月1日「底辺職のことが話題になっていましたが」をご参照ください)。

 

働き方改革のため、17時30分以降は犯罪が起きても火事が発生しても急病になってもだれも対応いたしません、なんてことになったら大変ですよね?

入所施設は17時30分以降どこも無人となりますなんて、まずいですよね?

年末年始はみんなが休むので無法&無人地帯になりますけれど仕方ないですよねなんて、国家として成り立っておりませんよ。

 

残業しないで定時で帰る、どんどん休んで人生を楽しむのが正しい働き方なんだよという働き方改革の一面を仮に「働き方改革A」とすると、そうした働き方改革とは縁遠い中でも世の中になくてはならない仕事をしている方々の立場を「働き方改革B」と仮に呼びましょう。「働き方改革B」は「働き方改革A」のようにはできないけれど、その働き方は当然認められないとならないわけで(だって必要不可欠だから)、何を持って「働き方改革B」として認めるかという議論が世の中的には圧倒的に不足しているんじゃないのかなと思っているのであります。

 

「働き方改革B」に当てはまる方々には、なんとか褒章授与の権利が付与されるとか、国から感謝状が出るとか、その職種で働いている期間は国から特別手当が支給されるとか(ここに税金を使うのは国のためにものすごく意味があるように思うんですけどね。その仕事をしたい人が増えるはずだから。人が増えれば「働き方改革B・時間差労働版」ができるようになる)、そういう案も含めて働き方改革を考えていかないと、なんか国自体が先細りしてしまうような気がしてなりません。

 

政治家のみなさん、こういう考え方をどう思われますか? だれも読んでないか…。

 

自閉症者地域生活支援センターなないろ  加藤 潔