加藤のコラム第184号
「~する人」という英語
動詞にerやorをつけると、「~する人」という意味になります。
teachにerをつけたら教える人、つまり先生。actにorをつけたら演じる人、つまり俳優。Amuroにrをつけたら(oが最後にあるから)安室奈美恵さんを好きな人、つまりアムラー。アムラーは完全な和製英語というか造語ですけれど(英語としては名詞にerつけるのはそもそもありえないのでしょうが、まあそれは置いといて)。
でね、マヨネーズが好きな人をマヨラー、ケチャップが好きな人をケチャラーって言いますが、これは英語の語感的にやっぱりなんか変だ。
マヨネーズならば、mayonnaiseにrをつけて(eが最後にあるから)マヨネーザーでいくか、mayonの部分を取り出しerをつけてマヨナーでいくべきでしょ?
ケチャップならば、ketchupにerをつけてケチャッパーでいくか、ketchの部分を取り出しerをつけてケチャ―でいくべきでしょ?
じゃあマヨラー、ケチャラーのラーはどこからきてるんだよっていう話なのですが、これはどう考えてもアムラーのラーからきてますよね。それだけ安室奈美恵さんってすごいんだわ。自分についたラーが英語のルール?を飛び越えて他の新語に影響を与えたのですから。
しまむらが好きな人をシマムラ―、ユニクロが好きな人をユニクラー、シャネルがお好きな人をシャネラーと呼ぶのは英語的にも変じゃない(そんな英語ないけれど)から、言語的にはアムラー直系とは言い難いですが、ラーの語感は引き継いでいます。
キティちゃんが好きな人はキティラーと言いますけれど、これは本来ラーじゃなくて、kitty+erでキティヤーだわね。でもキティラーという言葉になったということはアムラー直系言語だと言えます。
しかし、なんでもかんでもラーをつければいいというものでもないというか、ラーがつく言葉が氾濫してはいないという感じはします。コーヒーが好きな人をコーラーと呼んだら何が好きなのかよくわからなくなるし、ラー油が好きな人をラーラーと呼んだらパンダの名前みたいになるし、カツ丼が好きな人をカツドラーと呼んだらサツドラ(サッポロドラッグストアの通称)の姉妹店のドラッグストアかと誤解されるし、塩辛が好きな人をシオカラ―と呼んでも語尾が伸びただけです。
前向きな人のことをポジティバーと呼ぶことがあるようで、でもその言い方はあまり広まっているわけではありません。〇〇ラーという呼称にこだわらなくてもいいということを述べてきたのは、ポジティブラーとかポジティジラーではなく、ストレートにpositiveにrをつけて(eが最後にあるから)ポジティバーという単語を流行らせたいなという思いがあるからです。いろいろたいへんなことはあるのですが、たいへんだ~と嘆くよりポジティバーという合言葉を口に出した方が建設的だと思うから。
今年の流行語大賞はポジティバー。どうでしょうか。やたらととにかく前向きな店長がいるバーの名前に使っていただいてもいいと思います。
自閉症者地域生活支援センターなないろ 加藤 潔