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加藤のコラム

加藤のコラム第103号

うちのおふくろ

 

オヤジは亡くなっていますが、おふくろは生きております。80代半ばです。

 

ひざがよくないので、長い距離を歩くのはなかなかしんどくなってきました。この5、6年、転んでたまに骨折しています。それでも、入院は絶対嫌だと言って、自宅療養ですませています。骨は折るけどくっつける力はまだ残っているようです。

 

耳が遠いので、大きな声で言わないとなかなか聞こえないのですが、彼女は一方的にしゃべります。返答してもよく聞こえない部分もあるのでしょうが、勝手に「ああ、そうなの」とかテキトーに言って、会話を続けております。

 

ここ最近は、やたらと食べ物の話を振ってきます。ボクはなかなか食に関して繊細な選別をするタイプなので、その思い出がよみがえるのでしょうか。だいたいにおいて、「これを食べると頭がよくなる」でオチをつけています。

 

「あんた、ニンジン食べれるようになったんだよね?」

「小さいニンジンだけは食えるけど、大きいのはダメだ」

「ああ、そうなの。ニンジン食べると頭よくなるよ」

「今さら無理だ」

「ああ、そうなの」

 

「ネギは好きになったんだよね?」

「薬味のネギは大好きになった」

「ああ、そうなの。ネギ食べると頭よくなるよ」

「頭はよくならなくていいんだ。髪の毛が増えるといいんだ」

「ああ、そうなの」

「もっと他に言い方ないのかよ」

「ああ、そうなの」

 

20年ほど前のことになりますが、「私は一度も外国に行ったことないんだよねえ」としみじみ言うので、大枚はたいてグアムに連れていったことがあります(もちろんオヤジもいっしょに)。喜ぶだろうと思っていたら、「日本がいいわ」と、おふくろは旅行中ずっと言っていました。心の声が悪気なく口に出るタイプです。

 

娘と息子の結婚式のときは、車いすで移動していましたが、やたらはしゃいでいて、式に参加している小さい子に向かって「一緒に乗るかい?おもしろいよ」と声をかけまくっていました。海外旅行より車いすの方が楽しいタイプのようです。

 

ボクもかなりのいい歳になりましたので、老害と言われないようにかわいげのある年寄りをめざしたいと思っております。うちのおふくろがそのモデルになるかどうかは、なんとも言えませんが…。

 

自閉症者地域生活支援センターなないろ  加藤 潔