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加藤のコラム

加藤のコラム第71号

 

函館競馬場の思い出

 

ボクは函館で仕事をしていた時期がありましたが、職場の先輩から、「競馬おもしろいからやってみろ」と言われ、断る権利も与えられないまま連れていかれました。よくわからないまま適当に馬券を買ったら、ビギナーズラックとはまさにこのことで、当たっちゃったんですよ。それ以来、札幌に引っ越すまでは、羽目を外すことなくそれなりに競馬にはまっておりました。もちろん、儲けられるはずはなく、函館競馬場の芝生の一部はボクが出資していると自負しています。

 

なぜはまったかというと、住んでいた家から函館競馬場までは約3.5キロで、走って競馬場に行き、帰りも走って戻るという健康的な余暇ライフに無理のない距離感だったからです(したがって札幌に来てから競馬は卒業しており、一度もやっておりません)。また、函館競馬場は子どもが遊べる施設がなかなか充実していまして(どの競馬場もそうだと思いますが)、子どももよく連れていっていました。まず先にボクが一人で走って競馬場に行き馬券を購入して家に戻る⇒子どもを連れて車に乗り競馬場近くの生協の駐車場に駐車⇒そこから市電に乗って競馬場へ⇒子どもは遊ぶ、ボクは競馬を楽しむ⇒生協に戻って子どもにおやつを食べさせたり買い物したり⇒そして帰宅、という二段階の競馬場訪問を繰り広げておりました。もちろん仕事のある日は我慢してましたよ。そのくらいの良識は持っております。

 

競馬場に行ける日は、一日の軍資金の上限3000円と固く決めていまして(馬券は100円単位で買えますからね)、その中には競馬新聞も電車賃も子どもたちのおやつ購入代も全部含めています。当時競馬新聞は400円だったと記憶していますが、前日に新聞を買い、頭の中で予想シミュレーションをして買える分のレース数だけ馬券を買うのですけれど、全部当たれば数十万円になるぞといつもニマニマしておりました。400円でその夢を見られるのだと考えれば安いものです。夢のままで終わっていましたけど。それでもたまーに当たるんです。当たった分は貯めておいてました。損しているのは間違いないのだけれど、3000円以上は絶対に使わないし、当たった分だけは別の財布に貯まっていくもんだから、積み立て貯蓄しているような気分を味わっていました。

 

子どもが遊べる施設では、親がそばにいないといけないのですけれど、「あの馬が来そうな気がする」と思うことがあり、そのときは「ちょっとトイレ行ってくるからね」と子どもに言い、「3000円の範囲内だし」と心の中でつぶやきながら、全速力で追加の馬券購入に行っていました(ごめんなさい)。係員の人は、子どもだけで遊んでいるなと思うと、子どもに「お父さんはどこ?」と尋ねるのですが、子どもたちは何度か尋ねられたことがあるようです。そのたびに「パパはトイレに行きました~」と言っていたらしいですが、遊戯施設にボクが戻ると係員さんに「そばにちゃんといてくださいね」と注意を受けまして、「腹の調子が悪くて。すみません」と見えすいた言い訳をしていました(本当にごめんなさい)。

 

人生の終焉を迎える前にもう一回だけ函館競馬場に行っておきたいなと思った次第です。3000円だけ持って。

 

自閉症者地域生活支援センターなないろ  加藤 潔