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加藤のコラム

加藤のコラム第6号

そんなキャラじゃないのにそれで通すしかなくなった話

 3月末に関東から北海道にフェリーで戻ってきたのですが、車の後部座席にある荷物を左手で取ろうとしたら「あら、いてえ」となり、それから左肩の可動域がやたらと狭くなりました。つまり六十肩というやつです(一般的には五十肩と言われることが多いようですが、年齢的に五十肩と呼ぶのはおこがましい)。
関東から六十肩といっしょに戻ってきたわけですが、放っておいても痛みは取れないし整骨院に行くしかないなと思い、定期的に通っています。おかげさまで動く範囲がかなり広がってきましたし、日常生活で痛みを感じることはほぼなくなりました。

その整骨院には感謝しているのですが、どうも誤解されていることがありまして…。施術中、よく話しかけてくださる整骨院なのですが(ちなみに、ボクを担当してくださっている方は女性なんですけれど、どの方もそうなので、話し掛けるのも施術のうちという方針なのでしょう)、あるとき「オリンピックの開会式見ましたか?」と聞かれて「見てないっす」と答えたんですね。で、その次に行ったときに「何の競技見てますか」と聞かれて「見てないっす」と同じように答えたんです。だって、仕事してるしライブでは見られないし、正直にそう答えたのですけれど、どうやら「世間が注目することに興味がない人」というキャラ設定されたようなのです。その後も「お盆はどうするんですか?」「特に何もないですねえ(だって何もないもん)」、「ハロウィンがもうすぐですね」「ハロウィン?ボクはハロウィンには縁がないなあ」というやりとりが発展しない回があり、完全に「世の中の動きに背を向けている人」というキャラが固定してしまったのでした。

そして、先日「クリスマスとかお正月にも興味ないですよねえ」という聞かれ方をされちゃいました。確かにクリスマスにワクワクする歳でもないし、正月にお年玉をもらえるわけでもないし、お節料理を楽しみにしたことないし、興味あるかと言われたらそうでもないのは事実です。そして、ここまでしっかりしたキャラ設定がされたので、その期待に応えないとなりません。というわけで「クリスマスやお正月はまったくいつも通りに過ごしたいですねえ」とお答えしました。そしたら「やっぱり~」と喜んでもらえたので、少しいいことした気分になりました。ホントは「クリスマスはボクの歌が流れるんですよ。きよしこの夜」みたいなおやじギャグをまき散らしたいのですが、この整骨院では「何を楽しみに生きているのかわからない男」として、その期待を裏切らないように頑張ります。

自閉症者地域生活支援センターなないろ  加藤 潔