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加藤のコラム

加藤のコラム第2号

シュレッダーが好きです

  第1号への反応は皆無ですが、そんなことはまったくおかまいなしに「加藤のコラム」第2号を発信しようと思います。テーマは「シュレッダー」。オフィスによくある器具の中で一番好きなのがシュレッダーです。「だから何なんだ?」という声が聞こえてきましたが、それにも動ぜずに書き進めます。
英語では「shredder」、発音は「シュレダァ」という感じだそうです。ボクが社会人になったときには個人情報保護法もまだなく、シュレッダーなるものも事務室には存在すらありませんでした。隠密に処理すべき書類は手で引き裂くか焼却炉で燃やすかしてました。はじめてシュレッダーなるものを見たとき、「オレの手に勝てると思っているのかね?」とシュレッダー相手にガン飛ばしていたような気がします。初期のシュレッダーって、縦にしか裂け目が入らなくて、やる気になれば復元できそうだったし、多めに紙を投入するとすぐに詰まっていたし、「めんどくせえな」としか感じなかったですね。

ところが、最近のシュレッダーは、早いし静かだし細かく切れるし多めに紙を投入してもそこそこ頑張るし、すごく進化していると思います。その進化を感じるたびに「オレの手を越えたな」と心の中で語りかけております。
そして、最近では、紙を入れ吸い込まれながら粉砕されていくときの感じがボクにとっては心地よく、特にシュレッダーしなくてもいいものまでシュレッダーしています(日本語的には、シュレッダーに入れるとかかけるというのが正しいのでしょうかね。シュレッダーするという動詞を普通に使っていること自体、シュレッダーが普及している証とも言えます)。ボクは、同じことを繰り返す作業がとても苦手で、すぐに逸脱してしまうのですが、シュレッダーなら一日中できそうな気がします。老いぼれたボクを雇ってくれる会社がありましたら、シュレッダー業務をお申し付けください。機械と二人三脚で頑張ります。

さて、シュレッダーに対する思いが変わったのは、シュレッダー自身の進化も当然あるのですが、ボク自身の心持ちの変化も大きいように思います。恥ずかしながら身の程を知らない少し前までのボクは、仕事において「オレ、負けてない」意識がありました。他の人たちの仕事ぶりを素直にすごいと思えばいいのに、「オレならこうするな」みたいな傲慢なことをつらつらと考えてました。ちなみに心の中でですよ。それを口に出すほどの勇気もない人間ですから。
ただ50歳を超えたあたりから、負けてうれしいというか、特に下の世代がいい仕事をしているのを見るのが素直にうれしいというか、何かきっかけがあったわけではないのですが、そう思えるようになりました。これは確かに歳をとったからだと思うのですが、せっかくそう思えるようになったのだから、この先ひねくれたジジイにはならないようにしないとと自分に言い聞かせている今日この頃です。

シュレッダーは、他の人へのリスペクトを思い起こさせてくれるというか、ちゃんといい年齢の重ね方をしているかを確認するための鏡というか、大げさに言うとボクにとってはそんな感じなんですよね。
ちなみに、シュレッダーで裁断されたゴミが良質の土に変わるとか、入浴剤や食料に変わるとか、そんな発明をだれかしてくれたら、シュレッダーする意欲がますます向上するのになあと妙ちくりんなことを思ってます。

自閉症者地域生活支援センターなないろ  加藤 潔