つなぐ・つながるSTPの取り組み

STP事業の経緯

社会福祉法人はるにれの里
理事長 木村昭一


STP事業とは

当法人がサービス提供する事業所を利用される人たちの多くが重度の知的発達症と自閉症という障がいをもっている。そして、その多くの人が幼児期から児童期、青年期の学びの時期に適切な関わりや教育、療育的な環境がなかったことにより結果的に二次障がいを抱えて成人期を迎えてしまった。その結果として、家庭でも地域でも支えきれなくなり、時として病院や施設入所支援や専門機関に多くを委ねて支援をしてもらわなくてはならくなり、当法人の各事業所の利用に至った経緯をもっている。

こうした中で一部の利用者ではあるがご本人の困り感や生きづらさが解決されないまま長期間に渡った状態像に対して、いかに専門の支援を展開している「はるにれの里」であっても容易に支えることはできない人たちがいる。私たちの事業所は札幌、石狩市内と厚田エリアに大小50を超える事業所があり、利用者数は定員ベースで500人に及ぶ。多くの事業所では法人理念に基づき強度の行動障がいの状態像をもつ利用者支援をおこなっており、実際には相当苦慮するケースもある。

従来、そのような場合、その利用者にサービス提供する事業所が孤軍奮闘で対応してきたという歴史がある。こうした長い取り組みの中で職員が疲弊して離職しいくという最悪の経過をたどる苦い経験を味わっている。こうした状況に陥らない為にも、取り組みを一事業所に任せることなく、特別な配慮を必要とする利用者を法人全体のつながりの中で取り組む仕組みが必要となってきた。

平成30年4月1日より、特別な配慮が必要な人たちに対するプロジェクトチームが専門委員会として結成された。メンバーは各事業所で先駆的な実践を積み重ねてきたリーダー達で構成し、支援面で課題を抱える法人内の事業所に横断的に応援に入るという委員会となった。実践については2年が経過し取り組みの成果も少しずつ確認できるようになってきた。

こうした成果を法人内にとどまらず、法人外でも特別な配慮を強く必要とされている人を受け入れている事業所からの要望が出され、1年間機関支援として試行してきた。

今後この成果を踏まえ「STP事業」として法人外の事業所にも手を差し伸べ、共に特別な配慮を必要とする利用者の支援を進め、様々な分野の機関と「つなぐ・つながる」取り組みを進めていきたい。


STP事業目的

  • 1)法人内で困難事例を抱え、支援に苦慮している事業所に対して共に考える立場で協力的支援を行う。
  • 2)定期的な事業所訪問により埋もれている困難ケースを発掘して虐待防止の未然防止について共に考える。
  • 3)必ずしも困難ケースにこだわらず、既存の利用者の活動の質、暮らしの質の向上のためにサービスの質を高めるために共に取り組む。
  • 3)各事業所において新規迎える利用者に対するアセスメント、支援計画、モニタリング、再構造化について共に取り組む。
  • 4)一般の在宅利用者で緊急のショートスティを利用するにあたってアセスメント、支援の手順書作成に協力する。
  • 5)外部機関へのコンサルテーション
    地域生活を支える他法人の事業所に対して「はるにれの里」が有する強度行動障害児者をはじめとしたASDへの支援のノウハウに基づき、独自に専任職員を配置してコンサルテーションを試行していく。

外部機関へのコンサルテーションの実際

「問題行動が激しくて何から取り組んでよいか解らない」というスタッフの疲弊している状況でSTPに依頼してくるケースがあります。お話を聞くと、問題行動をさせない為にどうするか?を中心に考えざる得ない状況なので、近距離での行動の見守りや、行動の制止、途中介入や、声掛けの多さなどありそのたびに他害や破壊などが発生してしまうようです。

まずは支援者が元気に支援できるサポート。具他的な支援の手伝いが出来るので事などで、まずは安心していただくことから始まります。

事業所のニーズがあれば、支援とは?自立とは?この方にどうなってほしいのか?そのためにスタッフは何をすることがいいのか?などの基礎的な学びやご本人の特性等の学びをして頂くこともあり、何のために支援が必要か?チームで支援する必要性は何か?を共通の認識にしていくことも多いです。

支援を受ける利用者さんの視点で理解が出来る活動を作る。自立して活動できる環境を整える。見通しが持てるシステムを使うなど、使い方やうまく行かない場合の誘い方。など、直接支援の際の対応の仕方等をお伝えしていくのですが、具体的に見て学べるように入所やグループホームであれば時差勤務に加わる事や、日中活動であれば送迎に加わる事も行います。

スタッフの一員として現場に立つことでスタッフのモチベーションも変わってくるようです。実際変わっていく利用者さんの姿を見ていただいて支援に興味を持つスタッフも多いようです。

又、在宅などのサポートを行っている日中支援の事業所には地域資源の使いや方を一緒に考える事もあります。医療との連携や相談室と事業所とのカンファレンスの参加保護者さんとの面談の参加など地域でより豊かな生活が出来るか等のお手伝いをしています。


メニューと費用


ご利用方法

お電話・電子メールでご連絡ください。その後申込用紙をメールにてお送りします。
詳細については担当講師と直接ご相談いただけます。


お問合せ

〒061-3211
石狩市花川北1条5丁目171 オノビル2F
社会福祉法人はるにれの里 法人本部 STP事業部
TEL:0133-62-8360