社会福祉法人 はるにれの里

〒061-3211 北海道石狩市花川北1条5丁目171番地 電話: 0133-62-8360 ファクス: 0133-72-1316

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寄稿文

ご寄稿文を掲載させていただきました

■「自閉症の息子と共に」(利用者父:佐藤崇文)

 息子は、自閉症で自傷行為の激しい子供でした。父親と母親の感性の違いの中、息子への母親の感情は、深く重く、男の自分には悟ることのできないものがある様に思えます。
 息子が小学三年の時、静療院の黒川ドクターと出会いました。妻と息子を退出させ私に「この子の様な自傷行為のきわめて激しい子は、このまま行為がエスカレートすると生きて行く事すら難しい。これからのお父さん次第ですよ。息子さんを出来る限り、抱っこしてやってください」。っと言われました。この時、私の中で息子への思いは、変化しました。
 息子が、もうすぐ21歳の誕生日という少し前、体も大きくなり身長も父親を越え、妻や娘達だけでは自傷する息子への対応も困難となり、妻が当時の担当管理職員さんへ、すがる思いで相談し、厚田はまなす園への入所を勧められました。
 妻は息子を途中で手放すことへの自責の念か、何故か泣き続けてしまった様です。今から約8年前の出来事です。
 厚田はまなす園入所後、担当職員の皆さんに助けられ、激しかった自傷も少しづつ減り、入所生活にも少しづつ対応している息子の日々の様子等の報告を受けつつ、約2年間空の巣症候群に陥った妻も立ち直り、息子の入所生活は約6年に及び、2年前グループホームへ移行したのです。今では、普通の散髪屋さんにも行けるようになり、日中活動もペットボトル班でそれなりにやっている様です。  今日迄の成長の原点は、息子に対する妻や姉、二人の弟の愛情が元となっているのでしょう。息子はちょっと変な自閉症で常に人恋しさを体・態度で思いっきり表現してきます。
 近くに人がいないと寂しがり、近くにいても、自分に注目していないと満足できないのか、何かちょっかいを出してくるのです。最近は毎月帰省をしています。先日1歳年上の姉と妻と家族4人で石狩の「番屋の湯」へ行き、昼食は近くのラーメン屋に寄った時のこと、お腹をポンポンっとたたくトイレの合図をしてきたので連れて行くと「よく出るねぇ?まだ出るの?」っと大量の放水でした。食事を終え自宅に向けて車を走らせる途中にコンビニに寄った際、またお腹をポンポンっとトイレの合図をするので、えっ?っと思いつつトイレに連れて行くと、なんとジュースのコーナーへ一直線。その速さ疾風のごとく、コーラを取りレジへ一直線。レジでテープを貼ってもらい車に乗るまで、なんと1分以内。そんなテクニックも覚えたようです。そんな息子も29歳となり、グループホームでの生活も順調なのか、帰省した時は先ず冷蔵庫の食材を確認し、自分の頭の中で献立している様で、妻はてっきりトンカツを食べたいのだと思い、調理を進めいよいよ盛り付けと思った瞬間、生卵と玉ねぎをおもむろに妻へ手渡す。そのいら立ちに、ただただ笑ってしまうしかありません。やっと出来たカツ丼を食べる時間の長さは半端ではなく、わがままを許さざる得ない点は反省しているのですが入所以来、職員の皆さんの工夫と努力で醤油の大量使用やコーヒーの中毒症状等、様々な点が大きく改善されている事は、健康的にも本当に良かったと思っています。
 今も黒川ドクターに担当していただいています。薬も処方されているのですが、何はともあれ、日々元気に過ごしてほしく、これからの息子の人生にしっかり寄り添い、私も65才を過ぎ父親として、人として、男として、妻や二人の姉と共に息子と向き合い感謝の心で、今後を生きて行こうと思っております。
(掲載日 16/04/01)

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